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茶道炉と風炉の時期
茶道では一年を大きく二つに分けて、
1.暖かくなってきた春夏の季節には炭火が茶室の温度が上がらないようにするために、間口が狭い風炉釜を据えてお点前をします。
2.だんだん寒くなってくる、秋と冬の季節は茶室の温度を温める意味合いで畳に炉を切り、炭も長いものを使い、火を絶やさないように心かけて、炉の炭点前をします。
炉と風炉の時期12ヶ月
茶の湯 「 炉の時季」と「風炉の時季」一年を二つに分けて、暖かい季節は 風炉釜を据えて釜をかけて使い、寒い季節は茶室が暖まるように畳に炉を切って、炭点前では大きめの炭を使い、茶室全体を温められるよう炉の釜も風炉の釜より大きめの釜を使います。
ここでは茶道の「 茶の湯の一年の流れ 」をおさらいしてみましょう。
5月から10月:風炉の時季
5月になると薫風さわやかな季節になり、茶室は暖房がいらなくなり、炭火が茶室に行き渡らないように炭火の出入り口を塞ぐように(朝鮮風炉)や(鬼面風呂)と言って間口の狭い風炉と小ぶりな釜を据えて使います。
こうして、茶道では一年のうち、寒い時季と、暖かくなった時季にお道具を変えていきます。
1.茶の湯では「 春 夏 秋 冬 」の季節を大切にしたお点前やお道具を使います.
2.茶事ではお菓子や懐石料理の献立、茶室に飾る茶花、花入れに至るまで、お道具も、その時の季節によって変わってきます。
10月:名残の茶事
いよいよ1年使ったお茶も無くなってきた、名残り惜しいなという茶事です。
名残の茶事は口切の頃より使用してきた茶壺の茶葉が少なくなり古茶によって秋の名残を感じ楽しむことです。
昨今では美味しい茶葉が容易に手に入る為、こうした気分を味わうことはなかなかないと思います。
茶事の形式としましては、正午の茶事と変わりありません。
11月から4月:炉の時季
11月は炉開きの月、11月になってくるとだんだん寒くなってきて、茶室内が冷えてくるため炭火のぬくもりが茶室全体にいきわたるようにするため畳に炉を切ります。
茶道では、11月は特別であり、茶人のお正月ともいわれます。
気温がぐっと下がり、冬へと向かうこの季節、 茶室の畳に炉を切ります。
埋める形で、炉には大きめの釜を据えます。
茶室の畳は大きな違いに、釜をどのようにかけるか(湯の沸かし方)です。
11月:茶人の正月
11月は『 口切りの茶事 』から始まります。
前の年のお茶がなくなる頃に炉を開き『茶壷の封を切って新しいお茶を頂く茶事 』のことをいいます。
柄杓の扱い方
柄杓の扱いやお点前の所作も変わります,四季を通して変わらないのは、お茶を点て亭主と客人が心を通わせること、炉の季節は、炉縁に集り、炭点前を拝見したり、より客人との距離も近くなりますね。
茶道には月ごとに季節を楽しむお点前や所作があります。
茶花やお軸そしてお道具のしつらえは亭主の心が反映されるのです。
炉と風炉の柄杓 :見分け方は3か所
合の大きさ・柄の切り止め・ハネの3か所です。
「風炉の柄杓は」合が大きい方が風炉の柄杓。
柄杓の扱いやお点前の所作も変わります。
1.見分け方は、合の大きさです。
風炉の釜は小さいので、合も小さいほうが風炉の柄杓です。
2.見分け方は、柄杓の柄の切り止めです。
柄杓の柄には、表裏で竹の皮と実の部分があります実がそげている方が夏です。
「みそぎぞ夏(実がそげているのが夏)」で覚えました。
3.見分け方は、柄杓の合からついている柄の角度であるハネです。
ハネが低い方が風炉です。
ハネが高い方が炉です。
これは炉と風炉で釜の高さが違うので、使い勝手が良いように工夫されているんですね。
風炉の柄杓は、釜に上向きで掛けると皮が長くて姿が良いです。
炉の柄杓は皮がそげているので、釜に伏せて置くと畳付きが良いですね。
茶道の道具は、一つ一つに職人の思いがこもっていて深い感慨をおぼえます。
12月~2月:夜咄(よばなし)の茶事
夜咄の茶事
冬の季節、日がどっぷりとくれた時刻から始めるんですよ。
夜咄(よばなし)の茶事は、炉の季節、夜の長い12月頃から2月頃までの、夕暮れ時から夜にかけて行われる茶事のことを言います。
夜咄には、手燭や行燈など、昔ながらの灯火具が用いられ、上級者向きの非常に趣のある茶事です。
点前や拝見にも手燭が伴い、他の茶事にはない風情を醸し出します。
暁の茶事
寒い時期に、午前4時頃からはじめる暁の茶事は夜が明けていく風情が楽しめるんです。
7月から9月は 「朝茶事 」茶室の障子が外されてすだれを用いて行います。
暑さをさけて午前6時ころから始まります。
10月:名残の茶事
いよいよ1年使ったお茶もなくなってきた、名残り惜しいなという茶事です。
茶壺のお茶が残り少なくなって、お茶にも、半年間親しんできた風炉にも名残りを惜しみます。
秋の名残りを感じ楽しむことです。
昨今では美味しいお茶が手軽に手に入るため、こうした気分になれることも少ないですね。
茶事七式
1.正午の茶事
2.朝茶事
3.夜話の茶事
5.跡見の茶事
6.飯後の茶事
7.臨時の茶事
を「茶事七式」と言って、それぞれ趣が異なるんです。
懐石料理
懐石料理と茶事で出される料理を懐石料理と言います。
これは濃茶をおいしくいただくための軽い食事なんです。
濃茶はどちらかというとどろっとした濃い抹茶が出されるため空腹の人には刺激が強いため懐石料理で、空腹を満たしておこうという配慮からなのです。
だから、懐石料理と言っても、特別なごちそうではなく、亭主の真心がこもったお料理なんです。
一汁一菜の内容は 向付(一菜)、飯、汁、このような簡素な料理が、折敷(脚のない平たいお膳の事)にのせられて運ばれてきます。
利休ばし(両端が使える杉のはし)がついています。
一汁三菜はそれに煮物と焼き物が追加されたものなんです。
そのあとに、はし洗い・小吸い物 ・八寸・香の物と続きます。
1. 煮物「二菜 」
2.焼き物
3.「三菜」
4.香の物「お漬物」
「はし洗い」
「小吸い物」
「酒肴での」
「海の物」
「山の物」
強肴「和え物や酢の物」
「銚子」
「杯」
季節の食材を使って、新鮮でみんな色とりどり美しく心を込めた手造りのきれいな懐石料理なんです。
茶の湯の菓子

お茶会で出されるお菓子には「 春・夏・秋・冬 」の
それぞれの『 季節感 』が感じられるようになっています。
どんなお菓子を出したらよいか、そこにも『 亭主の細やかな心ずくし 』があるのです。
食べておいしいのはもちろんのこと、四季折々の風物 や
色合いを かたどった 主菓子(生菓子)や 干菓子 は、
正に目と舌で味わう芸術品と言える美しい品々です。
主菓子
主菓子・和菓子
1.(ねりきり)白あんにつなぎをいれたもの(関東地方)山芋のあんをつかうもの(関西地方)があり、色を付けていろいろな形にする。
2. くず菓子くずの根から取ったでんぷんで作る。
3. こなし、こしあんに小麦粉を混ぜ、蒸してから、もみこなして作る。
4. きんとん、あんをうらごしして作る。
5. さおもの、米粉を砂糖で練ったういろう。
6. あんを寒天などで練ったようかん。
7. ぎゅうひ蒸した白玉粉に砂糖と水あめを加え、練りかためてつくる。
干菓子
1. らくがん 砂糖や米、豆の粉などを混ぜて固めた菓子箱型に入れて押し出した、押しもの)・方に入れて固めた、打ちもの)。
種物
1.ふ焼きせんべいの間にあんなどを薄く挟んで作る。
2. ある平糖、あめに色を付けて様々な形に細工したもの、生砂糖、雲平、砂糖に山芋などのつなぎを加えて細工したもの、 これら茶事に使う主菓子、干菓子は食べるのがもったいないほどきれいです。
季節の花や風物をかたどっているのもたくさんあるんです。
菓子器

主菓子(生菓子)を入れる器、にはいろいろな種類のものがあります。
最も格式が高いのが「縁高」と言って「 重箱形式のもので、一段に一つの菓子 」が入っている。
「銘々皿は」一人分のずつの器に入っているが、木や陶器、塗り物 など様々な形があります。
「菓子鉢」や蓋つきの「食ろう」には人数分のお菓子が盛られています。
どの菓子器にも「黒もじ」が添えられているので、それを使ってお菓子をとるんです。( 黒もじとはお箸の事 )
食籠の菓子の取り方
1.正客は主菓子が運ばれてきたら、二の上の黒もじの箸を取り、懐紙の上に置く。
2. 両手で蓋を取り、拝見して次客に手渡す。
3. 黒もじ「箸」で菓子を取り、懐紙の 上にのせる。
4.黒もじ「箸」を器にのせ、次客に送る、次客以下も菓子を取り最後に、末客のお詰めが蓋をして、黒もじを添えて茶道口に返して置く。
縁高の時の菓子の取り方(客人が3人の時)。
1. 縁高では、下の段から取っていきます。
黒文字は人数分入っています。
2. お正客は、両手で、上段を持ち上げ少しずつずらして置く。
3. 上に置いてある黒もじを下の器にななめにかける。
4. 上の二段を次客に送る。
5. 正客は懐紙を出し、黒もじで菓子をとる。
6.空いた器を次客に送る。
7. 次客も同じように菓子を取る。
8.末客のお詰めは、最後にふたをして、茶道口に返して置く。
9. 一礼をして菓子をいただく。
銘々皿でも、懐紙に取るんですよ、空いた器は次客に送っていくのは、縁高の時 と同じです。
まとめ
炉の季節、風炉の季節、それぞれにこだわって、自分のお茶事をなさる、そんな茶事に出会いがあって、蓮客として招かれた時の事、初座の懐石では見事な懐石道具が目を楽しませてくれました。
見事なのはお道具だけではありませんでした。
お正客、亭主が流れるようなお点前でした。
茶道を楽しむ良さは、自分の世界観が広がることですね。茶道のルールを守って語り合えるって、素晴らしい事だと思いませんか。